酵母菌の権威!ヴィラーニ社の美味しさの秘密
サルーミで有名なヴィラーニ社があるのはパルマから1時間ぐらい南下したフェラーリの本社があることで有名な、モデナという都市にあります。
この地域はパルマと並んで昔から旨い豚の生産地です。
ホエーというパルメザンチーズの製造過程でできる副産物を豚に与えていますので非常にコクのある豚に仕上がっているのが特徴です。
ヴィラーニ社は1886年創業の歴史ある会社で、世界中40カ国の高級な市場の要望に早くから応えている数少ない会社です。
※ホエーは高タンパク質で脂肪が少ないですので豚が元気にそだつことが出来ます。
こうしてつくられたイタリアの豚は加工用に全て使われています。
※イタリアでは高級な豚肉はほとんど生ハムなどの加工用に使用されます。
最新鋭の研究所
最新鋭の設備を整え、酵母菌の研究所まであります。
ここでは約300種類のバクテリア菌1(酵母菌)の研究を行っています。
ヴィラーニ社はバクテリア菌にかけてはイタリア国内でトップクラスのノウハウがありサルーミ、プロシュート用の酵母菌を自社で生産管理できるイタリアで唯一の会社です。
地元のモデナ大学などとも、バクテリア菌の研究において提携を結んでいるとのことです。
※酵母菌がサルーミ類の熟成を助け旨味成分を引き出します。そして長期間、様々な雑菌をシャットアウトしてサルーミを乾燥熟成させるのです。
われわれが訪問した03年3月現在で、リステリア菌という食中毒菌の増殖を減少させる2種類のバクテリア菌の繁殖に成功した!といってました。これらの2種類の細菌の相乗作用でリステリア菌を減少、死滅させるそうです。
(M23酵母菌と言いまして現在国際特許申請中です)
このようにヴィラーニ社はサルーミ内部と外部からの両面によりリステリア菌を撲滅させるノウハウを確立しています。
現在、M23酵母菌は生食のサラーミ類(ミラノサラミ、ソプレッサ、フィリーノ等)などに使用しています。M23は全く天然の酵母菌で、いたるところにいるリステリア菌に効果的に作用します。これからの生食サルーミの生産が劇的に変わるものと思います。
ヴィラーニ社の生産は数十種類のサルーミ類と、パルマハム、サンダニエーレハムなど
多岐にわたります。最新鋭の研究室と工場を兼ね備えた中堅のメーカーとして品質本意の製造を心がけています。
早くからトレーサビリティの確立
ヴィラーニ社は早くからトレサビリティを確立しました。
製品番号を見ると豚の生産農家がわかります。(PPというマークが張ってあります)
厳選されたイタリア国内の豚で10ヶ月以上飼育されたものしか使用していません。
パルマハム、サンダニエーレハム用の豚肉の骨付きモモ肉で14Kgぐらいのしっかりしたものを使います。
※数多くのサルーミメーカーがイタリア以外の輸入物の冷凍豚肉を使う反面、ヴィラーニ社はイタリア国内のすぐれた生の豚肉にこだわって使っています。
もともとこのパルマ、モデナ地方はパルミジャーノチーズの生産が盛んで、その製造過程でできるホエーを豚の飼料にしています。
ホエーは高タンパクで低脂肪ですので、非常に健康的に豚が生産されます。
その他、コーン、なども豊富に与えます。
この地方の豚肉が持っている何ともいえないコクはこういった飼料で育てられているのですね。
製造工程
- カッティングの材料
サラーミ用の豚肉をカッティングする際には一度豚肉を冷凍庫で締めて
カッティングをします。これは生の豚肉をそのままカッティングすると
肉の細胞繊維がボロボロになってしまうのを防ぐためです。
※ヴィラーニ社は決して最初から冷凍肉は使いません。
また厳選されたイタリア国内の良質な豚肉を使っています。
冷凍豚は仕入れの際に肉質が判断できませんので、生肉にこだわりがあるのです。
- ミキシング(味付け及び植菌)
カッティングの後はミキシングをしますが、ここでスパイス類などの味付け
酵母菌とのミキシングを行います。
次々にミキサーから引き出されていく粗挽きに、おおよそ目分量でそれらの
調味付けが目の前で行われています。まさに職人芸です。
この1行程でその後の熟成から、味付けまで決まってしまうのですから・・・。
ミキシングが行われた原料は、約1日冷蔵庫でじっくりと味がなじむのを待ちます。
その後、もう一度混ぜ合わせて充填に入ります。
※塩へのこだわり
イタリアはシシリー島の海水からつくる自然塩を使っています。
中でもヴィラーニ社は減塩で知られています。塩振り職人が肉質をみて瞬時に判断をして塩をふっていきますが、基本的に高質な豚肉を使用することによって薄味でも旨味が出て長期熟成に耐えることができます。
- 腸詰め(充填)
次に腸詰めが行われます。
この行程で均一に腸詰めをしなければその後の味が微妙に変わってきてしまいます。
この行程も重要な行程です。
- 熟成/乾燥
腸詰めが終わったサルーミ類は熟成庫で、30日〜製品によっては数ヶ月じっくりと
熟成、乾燥されます。最適な温度と、湿度に保たれ、酵母菌の働きによって旨味成分が増えて上等なサルーミとしての味を調えていくのです。
※出来上がりの重量はミラノサラミで最初の仕込みの重量から35%前後の水分が減少します。
イタリアのサラミは調味料など使わずに酵母菌と熟成の働きで旨味成分を引き出していきます。その為にはじっくりとした時間が必要です。そこには化学調味料など入る余地はありません。添加物も最少のものしか使用していません。
サルーミの表面にはびっしりとカビが生えています。これが旨味とコクを引き出す酵母菌の働きです。自然の力と時間をかけて、じっくりと旨いサルーミができてくるわけです。
※調味料などで味付けをしているわけではありません。補足ですが、豚肉を塩漬けしたものは約3週間で旨味成分が6倍近くになった実験結果もあります。これに酵母菌の働きをプラスして旨味成分を引き出すわけですから美味しくなるわけですね!
- ブラッシング
いよいよ完成したサルーミは最終仕上げをします。
カビ類をブラシでおとします。次に、小麦粉などが入った白い粉をまぶしていきます。
これは、これ以上カビが生えて熟成が進むのをある程度ストップするためです。
- 完成!
カッティングから熟成→完成まで、数ヶ月をかけてサルーミのできあがりです。
こうしてできたサルーミは、わが国などの短時間でできるサラミ類などとは又違う
おくふかい、旨味とコクが味わえます。
- 試食
この地方特産の赤のスパークリングワインとよく合いました。
工場を案内して頂いた部長も、よくこのスパークリングと合わせると言っていました。
サルーミ類のコクと適度な酸味に赤のスパークリングワインが旨味を引き出している感じです。
- 最後に
わが国もこのように、発酵食品は古くからたくさんあります。
納豆、ぬかずけ、鰹節、くさや、などその代表的なものです。
また、それらは、「菌」に守られ、旨味成分を成長させ栄養価の高いものに仕上がっています。
なぜか、肉製品の発酵食品はわが国にはないのですが、これらのことからもイタリアのサルーミ類は親しみやすい食品といえると思います。
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